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乳がん:トリプルネガティブ乳がんで術前補助化学療法への組織学的反応を予測するための連合学習
Nature Medicine 29, 1 doi: 10.1038/s41591-022-02155-w
トリプルネガティブ乳がん(TNBC)はまれながんで、転移能が高く予後不良であることが特徴であり、治療選択肢が限られている。転移が見られない場合の現在の標準治療は術前補助化学療法(NACT)だが、治療効果は患者により大きく異なる。この不均一性についてはまだほとんど解明されていないが、その一因はキュレーションされたTNBCデータが不足していることである。今回、我々は早期TNBCの女性患者のNACTへの組織学的反応を診断時に予測するために、WSI(whole-slide image)と臨床情報を利用する機械学習(ML)の使用を検討した。データのプライバシーを尊重しながら小規模研究のバイアスを克服するために、患者データが各病院のファイアーウォールで保護されている状況下で、連合学習を用いて多施設TNBC研究を行った。各病院のWSIを用いたMLモデルはNACTへの反応を予測できるが、MLモデルを協働訓練すると、専門家による時間のかかるアノテーションを使ってMLモデルを訓練する現在最良の訓練手法の場合と同程度まで、性能が向上することが分かった。我々のMLモデルは解釈可能で、特定の組織学的パターンを感知できる。この概念実証研究は、連合学習を実世界のデータセットに適用していて、前例のない大規模なデータセットを使用する今後のバイオマーカー発見への道を開く。