HIV:TLR9アゴニストと広域中和抗体のHIV-1持続感染に対する影響 ─ 無作為化第2a相TITAN試験
Nature Medicine 29, 10 doi: 10.1038/s41591-023-02547-6
抗レトロウイルス療法(ART)を用いずにウイルス学的制御を誘導することは、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)の治癒を目指す上で極めて重要である。今回の第2a相プラセボ対照二重盲検試験では、ARTを行っているHIV-1感染者43人(男性85%)を(1)プラセボ/プラセボ群、(2)レフィトリモド(TLR9アゴニスト)/プラセボ群、(3)プラセボ/広域中和抗HIV-1抗体(bNAb)群、(4)レフィトリモド/bNAb群に無作為に割り付けた。ART中断(ATI)は第3週に開始した。レフィトリモドは最初の8週間は週1回投与され、bNAbは2回投与された(ATIの1日前とATI後3週の2回)。主要評価項目は、ATI後にウイルス学的制御が消失するまでの時間とした。プラセボ/プラセボ群と比較して、ウイルス学的制御が消失するまでの遅延時間の中央値は、レフィトリモド/プラセボ群で0.5週(P = 0.49)、プラセボ/bNAb群で12.5週(P = 0.003)、レフィトリモド/bNAb群で9.5週(P = 0.004)であった。副次評価項目の中では、ウイルスの倍加時間が非bNAb群に比べてbNAb群でより長く、また、本介入は全体的に安全であった。レフィトリモドの付加的な有益性は見られなかった。血漿のbNAbは治療有効レベルを下回っていたが、プラセボ/bNAb群の36%(4/11)は、プラセボ/プラセボ群の0%(0/10)と比較すると、ATI25週後のウイルス学的制御を保持していた。レフィトリモドによる免疫療法は、ARTなしのHIV-1制御を誘導することはなかったが、bNAbは今後のHIV-1治癒戦略において重要な要素となる可能性がある。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT03837756。