Article

マラリア:ルワンダにおけるアルテミシニン抵抗性pfkelch R561H変異の拡散を遅らせるための介入方針のモデル化

Nature Medicine 29, 11 doi: 10.1038/s41591-023-02551-w

アルテミシニン併用療法(ACT)は、合併症のない熱帯熱マラリアの治療には非常に有効だが、ルワンダで新たに出現したpfkelch13 R561H変異型の熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)に対しては、原虫のクリアランスにかかる時間が長くなるため、伝播を遅らせるための介入が必要であることが示唆される。今回我々は、ルワンダ国内の地域ごとに較正した個人レベルのマラリアモデルを使って、治療失敗を最小限に抑え、3年、5年、10年後におけるR561Hの拡散を遅らせることを目的とした26の戦略を評価する。ACTにおける投与期間延長や複数の第1選択薬を用いる方法(MFT)は、アルテメテル・ルメファントリンの3日間投与という現行の方法と比較して、5年後の治療失敗を減少させた。これらの選択肢のうちで最良であるMFT方法は、ベースラインに比べて治療失敗数の中央値が49%低下し、R561H対立遺伝子頻度の中央値が0.15低下した。3剤ACT、または2種類のACTを連続して行うなどの抵抗性管理に対する新たな方法は、ACTにおける投与期間延長やMFTよりもさらに大きな効果があると推定された。これらの場合、5年後の治療失敗数の中央値が、現行の方法よりも81〜92%低下した。アフリカで現在流行しているアルテミシニン抵抗性遺伝子型に対する対応方針を定めることが、治療失敗が集団規模で増加することを防ぐために喫緊に必要される。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度