Article

腸内細菌:ヒト腸内マイクロバイオームの細菌のSNPは宿主のBMIと関連する

Nature Medicine 29, 11 doi: 10.1038/s41591-023-02599-8

ゲノムワイド関連解析(GWAS)により、ヒトの一塩基多型(SNP)と健康に関する形質の間の多数の関連が明らかになってきた。同様に、メタゲノムワイド関連解析(MWAS)を行うことにより、細菌のSNPとヒトの形質の間に機構的な関連が示される可能性がある。だが、これまでそのような研究はほとんど実施されていない。本研究では、SNPを検出して宿主の表現型と関連付ける体系的な方法であるMWASフレームワークを考案した。我々は、募集して集めた7190人の健常者コホートから腸メタゲノム解析のための試料を採取して、細菌のSNPと宿主のボディーマス指数(BMI)との間に統計的に有意な1358の関連を発見し、さらにそこから40の独立した関連を抽出した。これらの関連のほとんどは、食餌、投薬、あるいは運動によっては説明されなかった。また17の関連は、地理的に独立したコホートで再現された。27の細菌種でBMI関連のSNPを見いだし、そのうちの12種は標準的な相対存在量分析では関連が示されないことを明らかにした。我々は、Bilophila wadsworthiaの炎症経路に存在すると考えられる1つのSNP、およびFaecalibacterium prausnitziiゲノム内のエネルギー代謝機能をコードする領域に存在する一群のSNPと、BMIの関連を明らかにした。我々の研究結果は、マイクロバイオーム研究において塩基レベルの多様性を考慮する重要性を実証し、また、個人間のマイクロバイオームの違いとそれが健康にもたらす影響の可能性について理解向上への道を切り開くものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度