Article

糖尿病:空腹時血糖値とヘモグロビンA1cに基づく糖尿病の診断と有病率の世界的なばらつき

Nature Medicine 29, 11 doi: 10.1038/s41591-023-02610-2

空腹時血糖値(FPG)とヘモグロビンA1c(HbA1c)はどちらも糖尿病の診断に使用されるが、これらの測定値によって糖尿病と診断される人には差異がある可能性がある。我々は、集団ベースの117の研究のデータを使用し、世界のさまざまな地域について糖尿病と診断された人から有病率を計算し、さらに、以前には糖尿病と診断されていなかったがスクリーニング調査で糖尿病が検出された人について、FPG、HbA1c、またはその両方が上昇しているかどうかを数値化した。また、以前に糖尿病と診断されていない人について、FPGがある一定のレベルである場合にHbA1cが上昇している確率、および、その逆のHbA1cがある一定のレベルである場合にFPGが上昇している確率を見積もる予測式を開発した。以前に糖尿病と診断されなかったがスクリーニング調査で検出された人について、年齢で標準化した糖尿病有病率は、欧米高所得地域の30%から南アジアの66%までの範囲であった。スクリーニングによりFPGあるいはHbA1cのいずれかの検査で糖尿病が検出された人の中では、FPGとHbA1cの両レベルが上昇していた人の割合は、年齢で標準化した場合に、地域によって29〜39%であり、残りの人ではFPG上昇とHbA1c上昇は一致していなかった。ほとんどの低所得地域および中所得地域では、FPG単独の上昇よりもHbA1c単独の上昇の方がより一般的であった。これらの地域においては、FPG単独使用では、糖尿病の診断が遅れ、糖尿病有病率が過小評価される可能性がある。我々の予測式は、世界の糖尿病の診断およびサーベイランスにおける遅れを改善するために、有限の資源をHbA1c測定に割り当てる際に役立つものである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度