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CT放射線:小児期、青年期、若年成人期におけるCT放射線曝露による血液悪性腫瘍のリスク

Nature Medicine 29, 12 doi: 10.1038/s41591-023-02620-0

ヨーロッパでは毎年100万人以上の子どもたちがコンピューター断層撮影(CT)検査を受けている。中線量から高線量の電離放射線曝露は血液悪性腫瘍のリスク因子として確立されているが、CT検査の線量レベルでのリスクは依然として不明確である。今回我々は、ヨーロッパ9カ国において、CT検査を22歳未満で受けた94万8174人の多国籍コホート(EPI-CT)を追跡調査した。活性骨髄への放射線量を、検査された体の部位、患者の特徴、検査を受けた期間、およびCTの技術的パラメーター値の推測値に基づいて概算した。その結果、累積線量と全ての血液悪性腫瘍のリスクとの間に関連性を発見し、過剰相対リスクは100 mGy当たり1.96(95%信頼区間1.10~3.12)と推定された(790例)。リンパ系悪性腫瘍および骨髄系悪性腫瘍についても同様の推定が得られた。これらの結果は、今日の放射線検査(平均線量8 mGy)を受けた1万人の子どものうちの1〜2人が、その後の12年間に放射線曝露に起因する血液悪性腫瘍を発症すると予想されることを示唆している。我々の結果は、低放射線量でがんリスクが上昇する一連の科学的根拠を補強するものであり、また、小児CT検査の正当性を継続的に検証する必要性や、線量の最適化を行う必要性を浮き彫りにしている。

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