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悪性黒色腫:悪性黒色腫における治療前の精神的苦痛と術前の免疫チェックポイント阻害剤による奏効との関連性

Nature Medicine 29, 12 doi: 10.1038/s41591-023-02631-x

術前補助療法としての免疫チェックポイント阻害療法(ICB)は、ステージIIIBからDの悪性黒色腫の治療において、術後に行うICBより優れている。しかし、奏効の有望なバイオマーカーとしては、インターフェロンガンマ(IFNγ)シグネチャーや腫瘍変異量(TMB)では不十分である。というのは、前臨床研究において精神的苦痛(ED)が、βアドレナリン作動性シグナル伝達やグルココルチコイドシグナル伝達を介して、抗腫瘍免疫応答に対して負に作用する可能性が示唆されているからである。今回、第2相PRADO試験(NCT02977052)のステージIIIBからDの悪性黒色腫患者について、治療を受ける前のEDの有無と術前ICB治療後の臨床的奏効との関連性を評価するために、事後解析を行った。EORTC(European Organisation for Research and Treatment of Cancer)の情緒機能の尺度に従って、EDを訴える患者グループ(n = 28)とそうでない患者グループ(n = 60)に分類した。治療前に認められたEDは、EDが認められない場合より、IFNγシグネチャーおよびTMBによって調整した後の主要な病理学的奏効率の減少(46%対65%、調整オッズ比0.20、P = 0.038)、2年無再発生存率の減少(74%対91%、調整ハザード比3.81、P = 0.034)、およびIFNγシグネチャーで調整した後の2年無遠隔転移生存率の減少(78%対95%、調整ハザード比4.33、P = 0.040)に有意な関連を示した。ベースライン(治療開始)時における患者試料のRNA塩基配列解読の解析からは、これらの治療効果の減少に関連するβアドレナリン作動性またはグルココルチコイド駆動性の機序をはっきりとは特定できなかった。治療前に認められるEDは、悪性黒色腫における術前ICB治療後の臨床的奏効に関連するマーカーである可能性があり、さらなる検討を必要とする。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT02977052。

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