子宮頸がん:若いケニア人女性におけるHPVワクチン単回投与の持続性 ─ 無作為化対照試験の3年目の結果
Nature Medicine 29, 12 doi: 10.1038/s41591-023-02658-0
子宮頸がんの患者が多いのは、予防のためのワクチン接種率やスクリーニング受診率が低い地域である。我々は、多施設無作為化二重盲検対照試験において、ケニア人女性へのヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの単回投与は、18カ月後の時点で、持続感染に対し高いワクチン有効性(VE)を示すことを実証した。本論文では、この試験の3年間の追跡で得られた結果について報告する。全体として、15~20歳の健康な女性が2275人募集され、二価ワクチン投与群(n = 760)、九価ワクチン投与群(n = 758)、対照ワクチン投与群(n = 757)に無作為に割り付けられた。主要評価項目は、子宮頸部へのワクチンタイプ特異的なHPVの偶発的な持続感染とした。主要評価項目の評価は、HPV 16/18およびHPV 16/18/31/33/45/52/58という修正治療企図(mITT:modified intention-to-treat)コホートでの優越性解析で行った。この試験は、ワクチンタイプ特異的なHPVの持続感染について、事前指定した評価項目を満たした。HPV 16/18 mITTコホートでは、合計で75件の偶発的な持続感染が検出された(二価群で2件、九価群で1件、対照群で72件)。九価のVEは98.8%(95%CI 91.3~99.8%、P < 0.0001)、二価のVEは97.5%(95%CI 90.0~99.4%、P < 0.0001)だった。HPV 16/18/31/33/45/52/58 mITTコホートでは、合計で89件の持続感染が検出された(九価群で5件、対照群で84件)。九価のVEは95.5%(95%CI 89.0–98.2%、P < 0.0001)だった。ワクチンに関連した重篤な有害事象は起こらなかった。HPVワクチン単回投与により、ワクチン投与から3年後の時点では、非常に有効かつ安全で持続的な防御が得られた。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT03675256。