食道がん:PD-L1陽性食道扁平上皮がんでの第一選択療法であるセルプルリマブまたはプラセボと化学療法の併用 ─ 無作為化二重盲検第3相試験
Nature Medicine 29, 2 doi: 10.1038/s41591-022-02179-2
進行性食道扁平上皮がん(ESCC)に対する体系的な第一選択治療選択肢は限られている。この多施設二重盲検第3相試験では、これまで未治療の局所的進行性あるいは転移性ESCCでPD-L1発現率が1以上の総数で551人の患者を無作為的に2分し(2:1)、セルプルリマブ(抗PD-1抗体、3 mg/kg)もしくはプラセボ(1日目)に、シスプラチン(50 mg/m2)(1日目)を加えて投与し、さらに5-フルオロウラシル(1200 mg/m2)の持続点滴(1および2日目)を2週に1回行った。この試験は主要評価項目を満たした。無増悪生存期間(PFS)について、盲検放射線関連独立審査委員会(IRRC)によって評価された事前指定の最終解析では、セルプルリマブと化学療法との併用はプラセボと化学療法の併用と比べた場合、PFSを有意に改善した(PFSの中央値は、各々5.8カ月と5.3カ月、ハザード比:0.60、95%信頼区間:0.48-0.75、P < 0.0001)。全生存期間(OS)について事前指定された中間解析では、セルプルリマブと化学療法との併用は、プラセボと化学療法の併用と比べると、OSを有意に延長した(OS中央値は、各々15.3カ月と11.8カ月、ハザード比:0.68、95%信頼区間:0.53–0.87、P = 0.0020)。グレード3以上の治療関連有害事象はセルプルリマブと化学療法の併用群で201人(53%)、プラセボと化学療法の併用群で81人(48%)の患者で起こった。2週間に1回投与されたセルプルリマブと化学療法薬の組み合わせは、これまで未治療でPD-L1陽性の進行ESCCの患者でPFSとOSを有意に改善し、管理可能な安全性プロファイルが見られた。本試験は、ClinicalTrials.gov(NCT03958890)で登録されている。