がん治療:手術可能な非小細胞肺がんでのニボルマブを併用するネオアジュバント化学療法へのイピリムマブ追加の影響 ─ 第2相NEOSTAR臨床試験
Nature Medicine 29, 3 doi: 10.1038/s41591-022-02189-0
手術可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の患者では、イピリムマブとニボルマブを併用(Ipi+Nivo)、あるいはニボルマブと化学療法を併用(Nivo+CT)するネオアジュバント療法は、CT単独よりも高い病理学的対腫瘍効果を誘導する。しかしながら、Nivo+CTネオアジュバント療法にイピリムマブを追加することの効果は知られていない。今回、我々はNivo+CTとIpi+Nivo+CTという2つのネオアジュバント療法をテストする第2相NEOSTAR臨床試験の2群での結果(病理学的対腫瘍効果〔MPR〕を主要評価項目とする)と関連性について報告する。MPRは、Nivo+CT群で32.1%(7/22、80%信頼区間〔CI〕18.7–43.1%)、Ipi+Nivo+CT群で50%(11/22、80% CI 34.6–61.1%)であり、主要評価項目はどちらの群でも達成された。腫瘍に既知のEGFR/ALK変異のない患者でのMPRは、Nivo+CT群で41.2%(7/17)、Ipi+Nivo+CT群で62.5%(10/16)であった。どちらの群でも新たな安全性シグナルは観察されなかった。単一細胞塩基配列解読(scRNA-seq)と探索的評価項目であるマルチプラットフォーム免疫プロファイリングによって、エフェクター記憶CD8+ T細胞、Bおよび骨髄細胞、三次リンパ構造のマーカーなどを含む免疫細胞集団や表現型が明らかになり、これらはIpi+Nivo+CTコホートで特に増加していた。MPR分析を行った患者でのベースラインの糞便中微生物相はAkkermansiaなどの有益な微生物を多く含んでおり、炎症性や病原性の微生物は減少していた。Ipi+Nivo+CTネオアジュバント療法は手術可能なNSCLCで病理学的対腫瘍効果を促進するが、さらなる研究継続が必要である。(ClinicalTrials.gov registration:NCT03158129)