Brief Communication
HIV:CCR5Δ32/Δ32の同種造血幹細胞移植後のHIV-1治癒に関する詳細なウイルス学的および免疫学的特性解析
Nature Medicine 29, 3 doi: 10.1038/s41591-023-02213-x
CCR5Δ32/Δ32造血幹細胞移植(HSCT)がヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)感染を治癒させることがあるという、2名の患者に由来する科学的な証拠がこれまでに公表されているにもかかわらず、治癒と免疫学的およびウイルス学的に関連する因子についての知識は限られている。我々は、急性骨髄性白血病に対して同種CCR5Δ32/Δ32 HSCTを施行後9年以上にわたって注意深く観察されてきた53歳男性のHIV-1長期寛解症例について、その特徴を解析した。末梢T細胞サブセットと組織由来試料でドロップレットデジタルPCRとin situハイブリダイゼーションアッセイによって散発的に微量のHIV-1 DNAが検出されたが、ヒト化マウスで繰り返し行われたex vivoでの定量とin vivoでのアウトグロースアッセイでは、複製能のあるウイルスは認められなかった。低い免疫活性化レベルとHIV-1特異的な液性および細胞性免疫応答の減衰は、進行中の抗原産生がないことを示していた。分析治療中断後の4年間にわたってウイルスのリバウンドがなく、HIV-1抗原の持続に関わる免疫学的関連因子が欠如していることは、CCR5Δ32/Δ32 HSCT施行後のHIV-1治癒を示す強力な根拠である。