mpoxワクチン:男性へのmpoxワクチン単回接種のリアルワールドでの有効性
Nature Medicine 29, 3 doi: 10.1038/s41591-023-02229-3
最近世界的に起こったヒトでのサル痘(mpox)の急激なアウトブレイク(集団発生)は、2022年7月に世界保健機構によって公衆衛生上の緊急事態であることが宣言された。天然痘およびmpox用のワクチン(JYNNEOS、Modified Vaccinia Ankara-Bavarian Nordic:MVA-BN)は2回接種レジメンによって投与され、現在mpoxに対して使用される最初のワクチンとなっている。しかし、mpoxに対するMVA-BNの効果は現在まで臨床試験で実証されていない。ワクチンの供給量が限られているため、世界保健機構は、高リスクグループへのワクチン接種を優先することを推奨している。我々はこの後ろ向きコホート観察研究で、MVA-BNの単回皮下接種のリアルワールドでの有効性を評価した。これには2022年7月31日にワクチン接種資格のあったClalit Health Servicesのメンバー全員の電子健康記録の解析が含まれている。我々は、時間依存型共変量を用いるコックス比例ハザード回帰モデルを使って、社会人口統計的なリスク因子や臨床リスク因子を調整しながらワクチン接種とmpoxとの間の関連について推定を行った。ワクチン接種資格の基準を満たす2054名の男性の解析では、1037名(50%)が研究募集期間中にワクチンを接種し、少なくとも90日の経過観察を完了した。本研究の研究期間中に、ワクチン接種者で5件、ワクチン非接種者で16件の感染が確認された。補正されたワクチン有効性は86%(95%信頼区間、59–95%)と推定された。我々の結果は、このハイリスクコホートでのMVA-BNの単回皮下投与は、MPXV(サル痘ウイルス)感染リスクの有意な低下と関連付けられることを示唆している。