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がん:コドン特異的KRAS変異は転移性大腸がんでのトリフルリジン/チピラシルの延命効果を予測する

Nature Medicine 29, 3 doi: 10.1038/s41591-023-02240-8

ゲノミクスはがん患者の治療法を大きく改善したが、化学療法のための臨床グレードのゲノムバイオマーカーは、今のところ存在しない。本研究では、トリフルリジン/チピラシル(FTD/TPI)による化学療法を受けた転移性大腸がん(mCRC)患者37人で全ゲノム解析を行い、KRASのコドンG12(KRASG12)変異が、抵抗性のバイオマーカー候補であることを明らかにした。次いで、FTD/TPI治療を受けたmCRC患者960人のリアルワールドデータを収集して、KRASG12変異が生存率の低さと有意に関連していることを実証し、また、RAS/RAF変異サブグループに限定した解析でも同様の結果を得た。包括的な二重盲検プラセボ対照第3相RECOURSE試験(患者数n = 800)のデータを解析し、KRASG12変異(n = 279)が、FTD/TPI対プラセボでの全生存期間(OS)に対する利益低下の予測バイオマーカーであることが明らかになった(未調整交互作用ではP = 0.0031、調整交互作用ではP = 0.015)。RECOURSE試験では、KRASG12変異を有する患者は、FTD/TPI対プラセボでOSが延長されなかった(n=279、ハザード比〔HR〕=0.97、95%信頼区間〔CI〕= 0.73–1.20、P = 0.85)。対照的に、KRASG13変異型腫瘍の患者では、FTD/TPI対プラセボでのOSの有意な改善が見られた(n = 60、HR = 0.29、95% CI = 0.15–0.55、P < 0.001)。同質遺伝子系統細胞株と患者由来オルガノイドでは、KRASG12変異は、FTDによる遺伝毒性に対する抵抗性増加と関連していた。結論として、これらのデータは、KRASG12変異は、FTD/TPI治療のOSに対する利益低下に関するバイオマーカーであり、FTD/TPIによる治療が検討されているmCRC患者の約28%に関わってくる可能性がある。さらに我々のデータは、化学療法の一部でゲノミクスに基づく精密医療が可能であることを示唆している。

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