肺がん:血中循環腫瘍DNAを用いた縦断的モデルは転移性非小細胞肺がん患者の生存期間に関連する
Nature Medicine 29, 4 doi: 10.1038/s41591-023-02226-6
腫瘍治療学における最も大きな課題の1つは、特定の治療法が生存利益をもたらすと考えられる患者を決定することである。生存期間の予測のために行う血中循環腫瘍DNA(ctDNA)の動態についての縦断的研究は、一般的に小規模であるか、無作為化されていない。本論文では、化学療法と免疫チェックポイント阻害剤の併用(chemo-ICI)を比較する無作為化第3相試験であるIMpower150試験で、非小細胞肺がん(NSCLC)患者466人について5つのタイムポイントでctDNAを評価し、機械学習を用いてctDNAの複数のメトリクスをまとめてモデル化することで、全生存期間を予測した。治療3サイクル目の第1日までのctDNA評価で、患者のリスク層別化が可能になった。病勢安定(SD)ではハザード比(HR) = 3.2(2.0~5.3、P < 0.001)、患者の全生存期間の中央値は、高リスクで7.1カ月であるのに対して、低・中リスクでは22.3カ月、一方、部分奏効(PR)ではHR = 3.3(1.7~6.4、P < 0.001)、中央値は高リスク患者で8.8カ月であるのに対して、低・中リスク患者では28.6カ月となった。このモデルは、NSCLCで化学療法と免疫チェックポイント阻害剤を比較した無作為化第3相OAK試験の外部検証コホートでも、高リスク患者を識別した(全生存期間HR = 3.73〔1.83~7.60〕、P=0.00012)。我々のctDNAモデルを使用した臨床試験シナリオのシミュレーションは、試験における転帰の予測には、早期のctDNA検査が早期のX線画像検査よりも優れていることを示唆している。まとめると、治療中のctDNA動態の測定は、患者のリスク層別化を改善でき、また臨床試験中に競合する治療法間の差異を早期検出できる可能性がある。