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肺がん:TRACERxにおける身体組成と肺がん関連悪液質

Nature Medicine 29, 4 doi: 10.1038/s41591-023-02232-8

がん関連悪液質(CAC)は、非小細胞肺がん患者の罹患率と死亡率に寄与する主な要因である。CACの主な特徴には、身体組成と体重の変化がある。今回我々は、身体組成や体重と生存率との間の関連性を調べ、またCACの進行に関与する可能性のある生物学的過程やメディエーターを明らかにする。TRACERx(TRAcking non-small cell lung Cancer Evolution through therapy〔Rx〕)研究の651名に対して行ったコンピューター断層撮影に基づく身体組成解析によって、肺がん診断時に骨格筋あるいは脂肪組織領域の分布が下位20パーセンタイルに含まれる患者では、肺がん特異的生存期間と全生存期間が有意に短いことが示唆された。この結果は、独立したボストン肺がん研究(BLCS)の420名でも確認された。脂肪や筋肉組織の減少、あるいはボディーマス指数(BMI)で調整された体重減少を含む、1つ以上の再発時の特徴によってCACを発症したと分類された患者は、そのような特徴が見られなかった患者と比べて、腫瘍のゲノムやトランスクリプトームに異なるプロファイルを有することが明らかになった。CACを発症した患者の原発性非小細胞肺がんでは、炎症性シグナル伝達経路と上皮間葉転換経路の亢進や、がん・精巣抗原であるMAGEA6や、ADAMTS3などのマトリックスメタロプロテアーゼを含む遺伝子の発現が亢進しているという特徴が見られた。TRACERxの110名のサブセットで行われた、血中の悪液質メディエーター候補の探索的プロテオミクス解析では、血中GDF15と体重や骨格筋、脂肪組織の減少との間に有意な関連性が再発時に見つかり、このことはCACの管理においてGDF15の標的化が治療的関連性を持つ可能性を裏付けている。

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