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小児脳腫瘍:マルチオミクス神経病理学は小児神経腫瘍の診断精度を向上させる
Nature Medicine 29, 4 doi: 10.1038/s41591-023-02255-1
小児および青年期の中枢神経系腫瘍の種類は非常に多く、多様であるため、患者の転帰はさまざまに異なっており、正確な診断は容易ではない。本研究では、CNS腫瘍と新たに診断された小児患者1,200人以上からなる人口集団ベースのコホートを対象として、DNAメチル化プロファイリングと標的遺伝子パネルシークエンシングを、盲検化した神経病理学的な参照診断と前向きに統合し、ルーチンの神経病理診断における有用性を評価した。このマルチオミクス統合によって、DNAメチル化の詳細なクラスへのアノテーション(50%)、診断または治療に関連した遺伝的変化の検出(47%)、腫瘍易罹患性症候群の特定(10%)を介して、患者のかなりの割合の診断精度が向上することが分かった。神経病理学的なWHO分類とDNAメチル化に基づく分類での矛盾した結果(30%)は、組織学的高悪性度グリオーマで多く見られ、現在の全患者の5%の臨床患者管理に関係することを示唆している。追跡研究(中央値2.5年)では、低悪性度の分子プロファイルを示す組織学的高悪性度グリオーマ患者での生存期間改善が示唆された。これらの結果は、小児神経腫瘍の神経病理学にマルチオミクスを統合することの有用性について予備的証拠を示している。