多発性骨髄腫:多発性骨髄腫における自家移植用の造血幹細胞動員のためのモチキサフォルチドとG-CSF ― 無作為化第3相試験
Nature Medicine 29, 4 doi: 10.1038/s41591-023-02273-z
自家造血幹細胞移植(ASCT)は多発性骨髄腫(MM)における生存期間を改善する。しかし、多くの人は、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)による動員で、最適な数のCD34+造血幹・前駆細胞(HSPC)を採収することができない。モチキサフォルチドは、in vivo活性が増強された新規の環状ペプチドCXCR4阻害剤である。前向き第3相二重盲検プラセボ対照多施設試験であるGENESIS試験は、多発性骨髄腫を対象としたASCT用のHSPC動員に関して、プラセボ+G-CSFに対するモチキサフォルチド+G-CSFの優位性を評価することを目的としている。主要評価項目は、2回のアフェレーシス施行によりCD34+細胞が6 × 106個/kg以上採取される患者の割合であり、副次評価項目は、1回のアフェレーシス施行によりこの目標を達成することであった。ASCTを受ける成人多発性骨髄腫患者、合計122名が5カ国の18施設で登録され、HSPC動員のためモチキサフォルチド+G-CSF群あるいはプラセボ+G-CSF群に2:1で無作為化された。主要評価項目を達成したのは、モチキサフォルチド+G-CSF群では92.5%であったのに対し、プラセボ+G-CSF群では26.2%であった〔オッズ比(OR)53.3、95%信頼区間(CI)14.12–201.33、P < 0.0001〕。また副次評価項目を達成したのは、モチキサフォルチド+G-CSF群では88.8%であり、プラセボ+G-CSF群では9.5%であった(OR 118.0、95%CI 25.36–549.35、P < 0.0001)。モチキサフォルチド+G-CSFは安全で、忍容性が良好であり、治療下で発現した有害事象で最も多く観察されたものは、注射部位での一過性のグレード1/2の反応(疼痛50%、紅斑27.5%、掻痒21.3%)であった。結論として、モチキサフォルチド+G-CSFは、プラセボ+G-CSFに比べ、2回のアフェレーシス施行によりCD34+ HSPCを有意に多数動員することに加え、動員では免疫表現型および転写的に未分化なHSPCが優先的に多く採取された。試験登録:ClinicalTrials.gov NCT03246529