糖尿病:184カ国での不健康な食餌に起因する2型糖尿病の発症
Nature Medicine 29, 4 doi: 10.1038/s41591-023-02278-8
食餌に起因する2型糖尿病(T2D)の世界的な負荷は、十分に明らかにされていない。今回、1990年と2018年において、184カ国の成人を対象に、11の食餌要因の直接的影響および体重を介した影響に起因するT2D発生率を、リスク評価モデルによって推定した。2018年では、これらの不健康な食餌要因は、1410万〔95%不確実性区間(UI〕、1380–1440万〕のT2D発生症例の原因であると推定され、世界的な新規症例の70.3%(68.8〜71.8%)を占めていた。最大のT2D負荷は、全粒穀物の摂取不足(26.1%〔25.0〜27.1%〕)、精白米や精白小麦の過剰摂取(24.6%〔22.3–27.2%〕)、加工肉の過剰摂取(20.3%〔18.3〜23.5%〕)に起因していた。地域については、負荷の割合が最も高いのは、中央および東ヨーロッパと中央アジア(85.6%〔83.4〜87.7%〕)、ラテンアメリカとカリブ海諸国(81.8%〔80.1〜83.4%〕)であり、負荷の割合が最も低いのは南アジア(55.4%〔52.1〜60.7%〕)であった。食餌に起因するT2Dの割合は、一般的に女性よりも男性の方が大きく、また、年齢と逆相関していた。食餌に起因するT2Dは、一般的に農村部よりも都市部の住民で多く、また、低学歴者よりも高学歴者で多いが、高所得国、中央および東ヨーロッパ、中央アジアは例外で、これらの地域での負荷は農村部の住民および低学歴者でより大きかった。1990年と比べて、2018年では食餌に起因するT2Dは世界的に2.6絶対パーセントポイント(860万症例以上)増加したが、これらの傾向は世界の地域や食餌要因によって異なっていた。これらの知見は、食餌の質を改善して、世界的にT2Dを減らすための栄養上の優先事項と、臨床的および公衆衛生的な計画に有益な情報となる。