糖尿病:2型糖尿病のリスクがある成人において早期時間制限摂食を加えた断続的絶食と、カロリー制限および標準治療との比較 ― 無作為化対照試験
Nature Medicine 29, 4 doi: 10.1038/s41591-023-02287-7
断続的絶食は、ヒトの健康改善に対して、カロリー制限(CR)と同等の代替手段となると考えられている。しかし、「絶食」日の食餌時間帯を検討した試験はほとんどなく、これは制約となっている可能性がある。我々は、断続的絶食と早期時間制限摂食を組み合わせた新たな手法(iTRE)を開発した。本研究では、2型糖尿病の発症リスクが高い成人(N = 209、58 ± 10歳、ボディーマス指数34.8 ± 4.7 kg m−2)を、iTRE群、CR群、標準治療群の3つの群のうちの1つに無作為に割り付けた(2:2:1)。iTRE群は、連続しない絶食日(1週間当たり3日間)の08:00から12:00の間にエネルギー必要量の30%を摂取して、その後の20時間は絶食を行い、他の日は自由摂食とした。CR群は、時間指定なしで1日のエネルギー必要量の70%を毎日摂取した。標準治療群には減量ガイドラインの冊子を配布した。この非盲検並行3群間比較無作為化対照試験では、iTRE群とCR群の参加者に対して6カ月間の栄養サポートが提供され、さらに12カ月間の追跡が行われた。主要評価項目は、6カ月の時点での混合食負荷試験への応答における、グルコース値の曲線下面積の変化とし、iTRE群とCR群を比較した。6カ月の時点で、iTRE群はCR群と比較して耐糖能が大幅に改善された(iTRE群−10.10〔95%信頼区間 −14.08、−6.11〕mg dl−1 min−1に対して、CR群−3.57〔95%信頼区間 −7.72、0.57〕mg dl−1 min−1、P = 0.03)。しかし、これらの差は18カ月の時点では見られなかった。有害事象は一過的で、通常は軽度だった。倦怠感の訴えは、CR群や標準治療群よりもiTRE群で多く、便秘と頭痛の訴えは、標準治療群よりもiTRE群とCR群で多かった。結論として、2型糖尿病の発症リスクが高い成人では、食餌時間帯に対するアドバイスを長時間の絶食に取り入れることで、食後糖代謝が大幅に改善される。ClinicalTrials.govのID:NCT03689608。