COVID-19:肥満者におけるCOVID-19ワクチンに対する体液性応答の加速的減衰
Nature Medicine 29, 5 doi: 10.1038/s41591-023-02343-2
肥満は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染や死亡のリスク上昇と関連している。COVID-19ワクチンは、COVID-19の重症転帰リスクを減少させるが、肥満者でのワクチンの有効性は完全には明らかにされていない。今回我々は、EAVE II(Early Pandemic Evaluation and Enhanced Surveillance of COVID-19)監視プラットフォームを用いて、スコットランドにおける360万人のボディマス指数(BMI)と、COVID-19による入院と死亡率の間の関係を研究した。重度肥満(BMI > 40 kg/m2)のワクチン接種者では、COVID-19によって入院を経験したり死亡に至ったりする可能性が76%高かった(補正率比1.76、95%信頼区間〔CI〕1.60~1.94)。また我々は、28人の重度肥満者コホートで、BMIが正常(BMI 18.5~24.9 kg/m2)の対照者41人と比較した前向き縦断研究を行った。2回目ワクチン接種の6カ月後に、authentic(野生型)の重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対する中和抗体の抗体価が数量化できなかったのは、BMI正常者では12%だったのに対して、重度肥満者では55%だった(P = 0.0003)。さらに重度肥満者では、抗スパイク抗体と抗受容体結合ドメイン(RBD)抗体はいずれのレベルでも、中和能がBMI正常者の抗体よりも低いことが観察された。中和能は3回目のワクチン接種で回復したが、その後の再低下は重度肥満者でより急速であった。我々は重度肥満者では、COVID-19ワクチンによって誘導される体液性免疫の減衰が加速されることを示す。肥満はブレイクスルー感染による入院や死亡率の増加と関連しているため、我々の結果は、ワクチン接種の優先順位付け政策に示唆を与えるものである。