がん免疫療法:再発性グリオブラストーマにおける腫瘍溶解性DNX-2401ウイルス療法とペムブロリズマブの併用 — 第1/2相試験
Nature Medicine 29, 6 doi: 10.1038/s41591-023-02347-y
腫瘍溶解性ウイルスは抗腫瘍免疫応答を誘導し、その免疫応答はチェックポイント阻害によって増強されるので、グリオブラストーマに対する効果的な治療法となり得る。今回の多施設第1/2相試験では、再発性グリオブラストーマにおける腫瘍溶解性ウイルスDNX-2401腫瘍内送達後に、抗PD-1抗体ペムブロリズマブを静脈内投与するという併用療法について評価した。この評価は、49人の患者に対して最初は用量漸増相で、次に用量拡大相で行った。主要評価項目は全体的な安全性と客観的奏効率であった。主要安全性評価項目は満たされたが、主要有効性評価項目は満たされなかった。用量制限毒性はなく、全規定量での併用療法は十分な忍容性があった。客観的奏効率は10.4%(90%信頼区間〔CI〕4.2~20.7%)であり、これは事前指定した対照率の5%よりも統計学的に大きくはなかった。12カ月目での全生存率に関する副次評価項目は52.7%(95% CI 40.1~69.2%)で、事前指定した対照率の20%よりも統計学的に大きかった。全生存期間の中央値は12.5カ月(10.7~13.5カ月)であった。客観的奏効はより長期の生存をもたらした(ハザード比0.20、95% CI 0.05~0.87)。合計で56.2%(95% CI 41.1~70.5%)の患者では、安定(SD)かそれ以上の臨床的有益性が得られた。3人の患者は応答が持続した状態で治療を終了し、45、48、60カ月の時点で生存中である。変異、遺伝子発現、免疫表現型の探索的解析によって、免疫細胞浸潤とチェックポイント阻害剤発現の間のバランスから、治療に対する応答性や抵抗性機構についての情報が得られる可能性が明らかになった。まとめると、DNX-2401腫瘍内投与後のペムブロリズマブ併用は安全であり、特定の患者では顕著な延命効果がある(ClinicalTrials.gov登録番号:NCT02798406)。