Article

神経変性疾患:シヌクレイノパチーの血清バイオマーカーとしての伝播性α-シヌクレインシード

Nature Medicine 29, 6 doi: 10.1038/s41591-023-02358-9

α-シヌクレインの異常な凝集は、パーキンソン病(PD)、レビー小体型認知症、多系統萎縮症(MSA)といったシヌクレイノパチーとして総称される神経変性疾患群の重要な病理学的特徴である。αシヌクレインのβシートコンホメーションからなる病因性シードはさまざまな組織で見られ、バイオマーカーとしての可能性が示唆されているが、血清試料中のこれらのシードを確実に検出できた研究はほとんどない。本論文では、シヌクレイノパチー患者の血清においてα-シヌクレインの病因性シードを検出できる改良アッセイシステムを開発し、IP/RT-QuIC(immunoprecipitation-based real-time quaking-induced conversion)法と名付けた。IP/RT-QuIC法は、我々の第1および第2の内部コホートにおいて、PDと対照の鑑別(曲線下面積〔AUC〕:0.96〔95%信頼区間[CI]0.95~0.99〕/AUC:0.93〔95% CI 0.84~1.00〕)およびMSAと対照との鑑別(AUC:0.64〔95% CI 0.49~0.79〕/AUC:0.73〔95% CI 0.49~0.98〕)に高い診断性能を示した。IP/RT-QuIC法はまた、外部コホートの盲検解析で、PDと対照の鑑別(AUC:0.86〔95% CI 0.74~0.99〕)およびMSAと対照との鑑別(AUC:0.80〔95% CI 0.65~0.97〕)に高い診断性能を示した。特に、増幅されたシードは疾患特異的な特性を維持しており、PD患者とMSA患者の試料を鑑別できた。まとめると、本研究で示した新しいプラットフォームは、血清試料を用いたシヌクレイノパチー患者の検出を可能にし得る。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度