がん免疫療法:再発性/難治性神経芽細胞腫における抗GD2 CAR-NKT細胞 ─ 最新の第1相試験中間結果
Nature Medicine 29, 6 doi: 10.1038/s41591-023-02363-y
Vα24-インバリアントナチュラルキラーT細胞(NKT)は、キメラ抗原受容体(CAR)による増強が可能な抗腫瘍特性を有している。本論文では、神経芽細胞腫(NB)の小児12人において、GD2特異的CARとインターロイキン-15(IL15)を共発現する(GD2-CAR.15)自家NKTのヒト初回投与(first-in-human)を行った第1相臨床試験の評価の最新の中間解析結果を報告する。主要評価項目は、安全性と最大耐用量(MTD)の決定であった。副次評価項目としては、GD2-CAR.15 NKTの抗腫瘍活性を調べた。他の目的としては、免疫応答の評価がある。用量制限毒性は見られなかったが、1人の患者でグレード2のサイトカイン放出症候群が生じ、これはトシリズマブによって解消された。MTDには達しなかった。客観的奏効率は25%(3/12)で、内訳は部分奏効が2例と完全奏効が1例であった。産物中のCD62L+NKT頻度は、患者でのCAR-NKTの増殖と相関し、非応答者(n = 7)よりも応答者(n = 5)で高かった(客観的奏効あるいは腫瘍量減少を伴う安定〔SD〕)。BTG1(BTG anti-proliferation factor 1)の発現は末梢のGD2-CAR.15 NKTで上昇しており、疲弊したNKTやT細胞での低応答性をもたらす主要なドライバーである。BTG1をノックダウンしたGD2-CAR.15 NKTは、マウスモデルで転移性NBを除去した。以上より、GD2-CAR.15 NKTは安全であり、NB患者において客観的奏効をもたらすことができると結論する。さらにそれらの抗腫瘍活性は、BTG1を標的化することで増強される可能性がある。ClinicalTrials.gov 登録番号NCT03294954。