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脈管異常:ゲノムプロファイリングは脈管異常の診断および治療に役立つ情報を提供する
Nature Medicine 29, 6 doi: 10.1038/s41591-023-02364-x
脈管異常は、血管またはリンパ管の形成異常や腫瘍であり、生命を脅かす恐れがある。分子標的療法によって救命がもたらされる可能性はあるが、病変組織試料が入手できないこと、モザイクであること、塩基配列解読の深度が十分でないことのために分子的病因を解明できないことが多い。原発性複雑型リンパ管異常(pCLA)を有する104人を含む、脈管異常を有する356人からなるコホートにおいて、リンパ液から単離したCD31+細胞のDNA、またはリンパ液や血漿に由来する無細胞DNAについて、超高深度塩基配列解読を行うことによって、病因となる体細胞バリアントをバリアント対立遺伝子頻度(VAF)0.15%以上のレベルで発見したことを報告する。これまで報告されていなかった遺伝的原因などを含んだ分子診断により、pCLAの参加者のうちの41%、他の脈管形成異常の参加者のうちの72%で分子的病因が得られ、参加者の63%(43/69)が新しい治療法につながり、また治療によって参加者の63%(35/55)で症状が改善した。総合すると、これらのデータは、脈管異常を有する個人において、未発見の遺伝子型–表現型の関連を特定し、治療法を導くための、リキッドバイオプシーに基づく診断技術の開発を助けるものである。