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上咽頭がん:ゲムシタビンとシスプラチン併用療法後の上咽頭がんの腫瘍免疫微小環境

Nature Medicine 29, 6 doi: 10.1038/s41591-023-02369-6

ゲムシタビンとシスプラチンを併用した(GP)化学療法は、上咽頭がん(NPC)の標準治療である。しかし、その臨床活性の根底にある機構についてはよく分かっていない。本研究では、GP化学療法の前後でマッチさせたNPC試料(n = 15対)に対する一細胞RNA塩基配列解読と、T細胞受容体およびB細胞受容体の一細胞塩基配列解読を用いて、GP化学療法は自然免疫様B細胞(ILB:innate-like B cell)優勢の抗腫瘍免疫応答を活性化することを明らかにした。化学療法によって誘導されたDNA断片は、STING-I型インターフェロン依存経路を活性化し、がん細胞で主要組織適合遺伝子複合体クラスIの発現を増加させ、同時にToll様受容体9のシグナル伝達を介してILBを誘導した。ILBはさらに、ICOSL–ICOS軸を介して濾胞性ヘルパーT細胞と1型ヘルパーT細胞を増殖させ、続いて胚中心が見られない化学療法後の三次リンパ器官様構造内で細胞傷害性T細胞を増強した。ILBの頻度は、NPC患者に対するGP化学療法の第3相試験(NCT01872962、n = 139)では、全生存期間と無病生存期間に正に関連していた。ILBの頻度はまた、GP化学療法と免疫療法の併用が行われたNPC患者(n = 380)の良好な転帰の予測因子としても機能した。まとめると、本研究は、GP化学療法後の腫瘍免疫微小環境の高解像度マップを提示し、B細胞を中心とする抗腫瘍免疫の役割が明らかになった。我々はまた、ILBがNPCにおけるGPベースの治療に対する有望なバイオマーカーであることを明らかにするとともにその検証を行い、この結果は患者管理を向上させるだろう。

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