Perspective

がん精密医療:NCI-MATCH試験 ― がんの精密医療に生かせる知見

Nature Medicine 29, 6 doi: 10.1038/s41591-023-02379-4

NCI(National Cancer Institute:米国国立がん研究所)-MATCH(Molecular Analysis for Therapy Choice:治療法選択を目的とする分子解析)臨床試験(NCT02465060)は、2015年に、ゲノム解析に基づいたシグナル探索型精密医療のためのプラットフォーム臨床試験として開始された。対象は主に、治療抵抗性の悪性固形腫瘍の患者であった。2023年に終了したこの試験は、現在もなお、最大規模のがん精密医療の腫瘍横断的臨床試験の1つである。ほぼ6000人の患者に対して腫瘍検体のスクリーニングと分子プロファイリングを行い、総数で1593人の患者(標準的な次世代塩基配列解読法を用いて試験を継続した際の患者も追加されている)を38のサブスタディのいずれかに割り付けた。各サブスタディは、ゲノム変化にマッチさせた治療法の第2相試験であり、主要評価項目はRECIST基準による客観的な腫瘍縮小効果であった。本稿では、NCI-MATCHの最初の27のサブスタディの結果を要約する。27のうち7つのサブスタディ(25.9%)で良好な治療効果が認められ、シグナル探索型という目標を達成した。ここでは、今回の臨床試験の設計とその実施・遂行のカギとなる点について論じ、今後の精密医療の試験にとって重要な知見を浮き彫りにする。

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