Article

大麻:大麻使用障害を対象としたCB1受容体のシグナル伝達特異的阻害 ― 第1相および第2a相の無作為化試験

Nature Medicine 29, 6 doi: 10.1038/s41591-023-02381-w

大麻使用障害(CUD)は広く見られるが、その治療に役立つ薬物療法は存在しない。AEF0117は、新しい薬理学的クラスである「カンナビノイド受容体(CB1)のシグナル伝達特異的阻害剤」の最初の薬剤である。AEF0117は、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)の結合によって生じる細胞内効果の一部を選択的に阻害するが、行動自体を変化させることはない。マウスおよび非ヒト霊長類では、AEF0117はカンナビノイドの自己投与の減少とTHC関連の行動障害の低減を引き起こし、有意な有害作用は見られなかった。第1相の単回投与用量漸増試験(0.2 mg、0.6 mg、2 mg、6 mg。n = 40)および反復投与用量漸増試験(0.6 mg、2 mg、6 mg。n = 24)では、健康なボランティアが無作為に用量漸増コホートに割り付けられた(コホート当たりn = 8、AEF0117群とプラセボ群に6:2で無作為化)。どちらの試験でも、AEF0117は安全で忍容性が良好であった(主要評価項目)。第2a相プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験では、CUDであるボランティアが2つの用量漸増コホート(0.06 mg、n = 14。1 mg、n = 15)に無作為に割り付けられた。AEF0117は、大麻のもたらす正の効果に対する主観的評価(主要評価項目、視覚的評価スケール〔VAS〕で評価)を、プラセボ群と比べて19%(0.06 mg)および38%(1 mg)低下させた(P < 0.04)。AEF0117(1 mg)は大麻の自己投与も減少させた(P < 0.05)。CUDであるボランティアでは、AEF0117の忍容性は良好で、大麻離脱症状を引き起こさなかった。これらのデータは、AEF0117が安全であり、CUDの有効な治療法となる可能性を示唆している。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT03325595、NCT03443895、NCT03717272。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度