DNA損傷応答:DNA損傷応答欠損進行性固形がんにおけるcamonsertib ― 第1相臨床試験結果
Nature Medicine 29, 6 doi: 10.1038/s41591-023-02399-0
効果的ながん標的治療を導くためには、治療の効果予測バイオマーカーが不可欠である。毛細血管拡張性運動失調症およびRad3関連キナーゼ阻害剤(ATRi)は、毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)キナーゼの機能喪失(LOF)と合成致死性であることが示されており、また、前臨床試験では他のDNA損傷応答(DDR)遺伝子に含まれるATRi感受性変異が見つかっている。本稿では、ケモゲノミクスCRISPRスクリーニングによって、腫瘍をATRi感受性にするDDR遺伝子の機能喪失変異を予測し、そうした変異を持つ進行性固形がん患者120人を対象に行われた、ATRiであるcamonsertib(RP-3500)の第1相試験(進行中)の第1部の結果を報告する。主要な目的は、安全性の決定と、第2相の推奨用量(RP2D)の提案である。副次的な目的は、予備的な抗腫瘍活性の評価、camonsertibの薬物動態と薬力学的バイオマーカーとの関係の特徴付け、ATRi感受性バイオマーカー検出方法の評価である。camonsertibは良好な忍容性を示し、貧血が最もよく見られる薬物関連毒性であった(グレード3が32%)。予備的RP2Dは1日1回160 mgを毎週3日投与4日休薬であった。camonsertibの生物学的有効用量(> 100 mg d−1)投与患者における腫瘍および分子サブタイプにわたる全奏効率は13%(13/99)、臨床的有用率は43%(43/99)、分子奏効率は43%(27/63)であった。臨床的有用性は、卵巣がん、両対立遺伝子に機能喪失変異を有する腫瘍、分子奏効を示した患者で最も高かった。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT04497116。