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抗生物質耐性と闘う

Nature Medicine 29, 7 doi: 10.1038/d41591-023-00043-5

抗微生物薬耐性(AMR)は、世界の人々の健康にとって最大の危険の1つとなっている。AMRへの対策として新規な抗生物質は必要不可欠であるにもかかわらず、過去20年間には革新がほとんど見られなかった。そこで、研究への投資を促進するために斬新な方法を試験的に導入する国も出始めている。また、合成化学や人工知能(AI)を使うことも試みられている。AIを抗生物質探索に使えば、より多くの化合物をもっと迅速に探索できる。特定の薬剤耐性病原体に対しては、細菌の代謝を標的とするなどの方法を用いることも可能だ。さらに新しい抗生物質感受性試験法の開発により、承認されている抗生物質の中から、既存の試験法では見つけられなかった多剤耐性に効く薬剤を特定することもできそうだ。しかし、新しい抗生物質を発見しただけでは十分ではない。低・中所得国をはじめとする最も必要としている人々が、そうした薬剤を手に入れられることが肝要だ。それを可能にする複雑な枠組みを構築するには、政府、規制当局、民間機関、市民との緊密なパートナーシップが必要である。

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