Article

脳腫瘍:さまざまな組織由来の転移性脳腫瘍に対するペムブロリズマブの効果 ─ 第2相試験結果

Nature Medicine 29, 7 doi: 10.1038/s41591-023-02392-7

転移性脳腫瘍(BM)は、発生率の上昇が見られること、また治療法が限られていることから、腫瘍学分野における課題になりつつある。本論文では、プログラム細胞死タンパク質1阻害薬であるペムブロリズマブの、頭蓋内転移巣に対する有効性を評価するために実施した、単一群、非盲検の第2相試験の結果を示す。この試験では、未治療のBM患者9人(コホートA)と、再発し進行したBM患者48人(コホートB)を対象にし、いろいろな組織由来の腫瘍を用いた。試験の主要評価項目は、頭蓋内転移巣に有効な治療効果が見られた患者の割合で、完全奏効、部分奏効、安定によって定義した。主要評価項目は満たされ、頭蓋内転移巣に対する臨床的有用率は42.1%(90%信頼区間〔CI〕:31~54%)であった。副次評価項目である全生存期間の中央値は、両コホートで8.0カ月(90% CI:5.5~8.7カ月)で、コホートAで6.5カ月(90% CI:4.5~18.7カ月)、コホートBで8.1カ月(90% CI:5.3~9.6カ月)であった。腫瘍組織が乳がん、黒色腫、肉腫を含む患者7人(12.3%)では、2年以上の全生存期間であった。30人の患者(52%、90% CI:41~64%)には、治療と関連している恐れがあるグレード3以上の有害事象が1つ以上認められた。2人の患者には、少なくとも治療との関連が疑われるグレード4の有害事象(脳浮腫)が起こった。これらの結果は、プログラム細胞死タンパク質1の機能を阻害することが特定のBM患者の治療に有効である可能性を示唆し、こうした治療のバイオマーカーや治療への抵抗性が生じる機序を特定するためのさらなる研究を後押しするものである。ClinicalTrials.gov 識別番号:NCT02886585。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度