Analysis
腎疾患:腎不全の代替評価項目としてのGFR項目のメタ解析
Nature Medicine 29, 7 doi: 10.1038/s41591-023-02418-0
糸球体濾過量(GFR)の低下は、腎不全と因果関係があり、臨床試験での慢性腎臓病(CKD)進行の代替評価項目の候補である。GFRの低下を評価項目として採用するには、多様な種類の介入を多様な集団で解析することが必要になる。本論文では、66の臨床試験それぞれについて(総数18万6312人の参加者)、各参加者のデータを解析し、全期間GFR勾配(ベースラインから3年間について算出)、介入による急性期の影響を除いた慢性期GFR勾配(無作為化後3カ月の時点から算出)、ハードエンドポイントとして認められている複合臨床エンドポイント(血清クレアチニン値の倍加、GFR 15 ml/分/1.73 m2未満、腎代替療法を要する腎不全)に及ぼす治療効果を推定した。我々は、ベイズの混合効果メタ回帰モデルを用いて、全ての臨床試験および疾患グループ別(糖尿病、糸球体疾患、CKD、あるいは心血管疾患)に、GFR勾配に及ぼす治療効果を、複合臨床エンドポイントに及ぼす治療効果と比較検討した。臨床評価項目に及ぼす治療効果は、全期間GFR勾配に及ぼす治療効果と強く関連しており(決定係数〔R2〕の中央値 = 0.97〔95%ベイズ信用区間[BCI] 0.82~1.00〕)、また慢性期のGFR勾配に及ぼす治療効果と中等度に関連していた(R2 = 0.55〔95% BCI 0.25~0.77〕)。疾患間に不均一性が見られる証拠は認めなかった。我々の結果は、全期間GFR勾配を臨床試験でCKD進行の主要評価項目として使うことを支持する。