異常気象:ヨーロッパにおける2022年夏の熱関連死亡
Nature Medicine 29, 7 doi: 10.1038/s41591-023-02419-z
2003年の夏、ヨーロッパでは7万人以上の超過死亡が発生し、この状況が社会的に認識された結果、リスクの高い人々を守るための適応戦略の計画と導入につながった。我々は、ヨーロッパの記録上最も暑い季節となった2022年の夏の熱関連死亡負荷を定量化することを目的とし、ユーロスタットの死亡者データベースを分析した。このデータベースは、ヨーロッパ35カ国における823の隣接する地域の全人口5億4300万人超を対象としており、4518万4044件の死亡データが含まれている。ヨーロッパの2022年5月30日から9月4日までの熱関連死亡者数は、6万1672人(95%信頼区間〔CI〕 = 37,643~86,807)と推定された。イタリア(死亡者1万8010人、95% CI = 13,793~22,225)、スペイン(1万1324人、95% CI = 7,908~14,880)、およびドイツ(8173人、95% CI = 5,374~11,018)は、夏の熱関連死亡者数が最も多かった。一方で、イタリア(100万人当たりの死亡者数295人、95% CI = 226~364)、ギリシャ(280人、95% CI = 201~355)、スペイン(237人、95% CI = 166~312)、およびポルトガル(211人、95% CI = 162~255)は、熱関連死亡率が最も高かった。人口で比較すると、熱関連死亡は男性よりも女性の方が56%多く、死亡率は男性では0〜64歳(+41%)および65〜79歳(+14%)で高く、女性では80歳以上(+27%)で高いと推定された。我々の結果から、既存の熱監視プラットフォーム、予防計画、長期的な適応戦略の再評価と強化の必要性が明らかである。