Review Article
多疾患併存:生物学的および機能的な多疾患併存 ― 機序から管理まで
Nature Medicine 29, 7 doi: 10.1038/s41591-023-02420-6
世界的に見ると、複数の疾患を併発する人の数は、今後の数十年間で大幅に増加し、患者、医療従事者、医療制度、社会に対して重大な結果をもたらすと考えられる。この課題に対処するには、現在の一般的な臨床、教育、科学における考え方や組織を変化させることが必要で、医学教育と医学研究が専門化する傾向とのバランスを取るために、ジェネラリストとしてのスキルを維持することが重要となる。多疾患併存とは単一の疾患概念を示すのではなく、ライフステージ、民族性、性別、社会経済学的集団、地域によって、量的にも質的にも多様なものとなる。疾患併発の影響を定量化するデータ駆動型科学を、現在既によく研究されている少数の慢性疾患(心代謝性疾患など)にだけでなく、他にも広げることで、多疾患併存の病理学的多様性の解明や、機構的に結び付いて予後的に関連することがよく見られる疾患分類群の特定に役立つ可能性がある。手法や分野を超えてデータの利用を広げることで、多疾患併存研究の垂直的および水平的な統合が促され、多疾患併存の複雑性を考慮して、医療サービス、臨床試験、ガイドライン、研究の再編成や、患者に対する効率的で連携の取れたサービスの提供が可能になるだろう。