Review Article

逆境的小児期体験:逆境的小児期体験と生涯にわたる健康

Nature Medicine 29, 7 doi: 10.1038/s41591-023-02426-0

持続可能な開発目標が普及したことによって、世界の子どもの健康にとっての重点は、死亡率の低下を目指すことから、健康、栄養、発達のアウトカムの改善(多くの場合、人的資本として測定される)へと移ってきた。発達生物学と神経科学に関する知識が蓄積されてきたことで、逆境的な環境への曝露(逆境的小児期体験〔ACE〕と総称される)が健康アウトカムに及ぼす影響の重要性が明らかになっている。ACEは、子どもの健康および発育に対する負の影響(短期的、中期的、長期的にも)と関連しており、これらの影響は、特に感受性や発達の可塑性が重要な時期には、乗算的に作用する可能性がある。また、これらの影響の中には、気候変動、紛争、人口移動など、新たな世界的脅威によってさらに深刻化するものもある。この総説では、ACEと健康アウトカムを結び付ける主な機序について議論し、ACEの影響を予防したり軽減させたりするための有望な戦略について考察し、低・中所得国における証拠に基づくプログラムとなっていることを示す。最後に我々は、ACEを早期に認識し、健康、教育、女性の社会的地位向上、社会的保護などの主要部門にまたがる一連の介入を提供する必要性を強調する。

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