高トリグリセリド血症:重症高トリグリセリド血症におけるFGF21類縁体であるペゴザフェルミン ─ 無作為化第2相試験
Nature Medicine 29, 7 doi: 10.1038/s41591-023-02427-z
ペゴザフェルミンは、ヒト線維芽細胞増殖因子21の長時間作用型糖ペグ化類似体で、重症高トリグリセリド血症(SHTG)や非アルコール性脂肪肝炎の治療に向けて開発中である。本論文において我々は、SHTG患者(トリグリセリド〔TG〕500 mg dl−1以上、2000 mg dl−1以下)において、ペゴザフェルミンの4つの異なる用量群(n = 67、男性52人)をプラセボ群(n = 18、男性12人)と比較する、5群8週間の第2相二重盲検無作為化試験の結果を報告する。本試験の患者では、ペゴザフェルミン群(4つの群の患者の合算)は、プラセボ群よりも、TG中央値が有意に減少することが分かり(ペゴザフェルミン群〔4群合算〕−57.3%に対しプラセボ群−11.9%、プラセボ群との差は−43.7%、95%信頼区間〔CI〕:−57.1%、−30.3%。P < 0.001)、これは本試験の主要評価項目を満たした。ペゴザフェルミン群全てでは、TG中央値の減少範囲は36.4%から63.4%に及び、この効果はこれまでに受けている脂質低下療法にかかわらず、一貫していた。副次評価項目に関する結果としては、アポリポタンパク質Bおよび非高密度リポタンパク質コレステロールの平均濃度が有意に低下し(アポリポタンパク質Bについて、ペゴザフェルミン群〔4群合算〕−10.5%に対しプラセボ群1.1%〔95% CI:−21.5%、−2.0%。P = 0.019〕。非高密度リポタンパク質コレステロールについて、ペゴザフェルミン群〔4群合算〕−18.3%に対しプラセボ群−0.6%〔95% CI:−30.7%、−5.1%。P = 0.007〕)、さらにサブスタディの磁気共鳴画像化法による評価では、ペゴザフェルミン群(4群合算)(n = 17)は、プラセボ群(n = 6)よりも肝脂肪量が有意に減少した(ペゴザフェルミン群〔4群合算〕−42.2%、プラセボ群−8.3%、95% CI:−60.9%、−8.7%。P = 0.012)。本研究薬剤に関連する重篤な有害事象は観察されなかった。これらの結果が第3相試験において確認されれば、ペゴザフェルミンはSHTGの期待される治療となる可能性がある(ClinicalTrials.gov登録:NCT0441186)。