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救命救急医療:組織灌流圧は集中治療室での継続的な血行動態評価とリスク予測を可能にする
Nature Medicine 29, 8 doi: 10.1038/s41591-023-02474-6
重症患者に対する循環性ショックの治療には、侵襲性のあるモニタリングを用いての血圧管理が必要であるが、さまざまな患者にとって最適な、個別化された血圧目標値については明らかになっていない。血流が停止した際の動脈圧を表す臨界閉鎖圧は、疾患や治療に対する応答としての血管緊張を測る際の基本的な尺度となり得るが、臨床において日常的にこのパラメーターを測定することはこれまでは不可能だった。本論文において我々は、簡単に利用できる血圧モニターを使って体循環における臨界閉鎖圧を継続的に測定する方法を説明し、次に平均動脈圧と臨界閉鎖圧の差として定義される組織灌流圧(TPP)が、その他の血行動態のパラメーターとは異なる独自の情報を提供することを示す。近代的な循環器集中治療室(ICU)に入院した5988例の解析を用い、さらに別の施設のICUへ入院した864例で外部検証して、TPPによって死亡のリスクや入院期間、血中乳酸のピーク値を予測可能であることを示す。これらの結果は、TPPが循環性ショックの患者における血圧の最適化のためのさらなる標的となり得ることを示している。