Brief Communication
医療AI:AIベースの皮膚がん診断支援のための強化学習モデル
Nature Medicine 29, 8 doi: 10.1038/s41591-023-02475-5
本論文では、皮膚がんの診断を使用例として、人間による評価(human preferences)が人工知能(AI)ベースの診断支援を改善する可能性があるかどうかを調べた。さまざまな診断エラーの有益性と有害性のバランスを取るために、専門家が作成した重み付けされた報酬とペナルティの表を用いて、強化学習モデルを訓練した。教師あり学習モデルと比較して、この強化学習モデルは、黒色腫に対する感度を61.4%から79.5%(95%信頼区間〔CI〕:73.5~85.6%)に、基底細胞がんに対する感度を79.4%から87.1%(95%CI:80.3~93.9%)に改善した。精度を維持しつつ、同時にAIのオーバーコンフィデンスも低減した。強化学習モデルによる支援があることで、皮膚科医による正しい診断率は12.0%(95%CI:8.8~15.1%)上昇し、最適な管理の決定率は57.4%から65.3%(95%CI:61.7~68.9%)に改善された。さらに、報酬で補正された強化学習モデルと閾値ベースの教師あり学習モデルは、さまざまな臨床シナリオにおいて、ナイーブな教師あり学習モデルよりも性能が優れていることが実証された。我々の知見は、人間による評価を画像ベースの診断アルゴリズムに組み込むことが有望であることを示唆している。