黒色腫:PD-1またはPD-L1阻害剤抵抗性の転移性黒色腫におけるイピリムマブ単剤あるいはニボルマブとの併用療法 ─ 無作為化第2相試験
Nature Medicine 29, 9 doi: 10.1038/s41591-023-02498-y
この無作為化第2相試験では、一次治療としての抗PD-1(programmed death protein 1)治療またはPD-L1(programmed cell death 1 ligand 1)に対する治療を受け、腫瘍が進行した転移性黒色腫患者を対象に、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)の阻害とPD-1阻害継続の併用を、CTLA-4阻害単独との比較として検討した。92人の適格患者が、イピリムマブとニボルマブの併用群、またはイピリムマブ単独群に3:1の比で無作為に割り付けられた。主要評価項目は無増悪生存期間とした。副次評価項目には、応答性腫瘍と非応答性腫瘍でのCD8 T細胞浸潤の違い、客観的奏効率、全生存率、毒性を含めた。ニボルマブとイピリムマブの併用群では、イピリムマブ単独群に比べて、統計的に有意な無増悪生存期間の改善が見られた(ハザード比 = 0.63、90%信頼区間〔CI〕= 0.41–0.97、片側検定のP = 0.04)。客観的奏効率は、併用群が28%(90%CI = 19~38%)、単独群が9%(90%CI = 2~25%)であった(片側検定のP = 0.05)。グレード3以上の治療関連有害事象は、併用群で患者の57%、単独群で患者の35%に見られ、この結果はこれらのレジメンの既知の毒性プロファイルと一致している。今回の解析で観察された腫瘍内CD8 T細胞密度の変化は、副次評価項目に定めて検証した仮説を裏付けるための統計的有意差には達しなかった。まとめると、CTLA-4阻害とPD-1阻害の併用により、一部の患者ではPD-1阻害療法に対する一次耐性(primary resistance)を反転させることができる。Clinicaltrials.gov登録番号:NCT03033576。