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乳がん:小児がんのアントラサイクリン化学療法を受けた女性における二次乳がんリスク

Nature Medicine 29, 9 doi: 10.1038/s41591-023-02514-1

アントラサイクリンによる化学療法は、小児がんサバイバーの女性における二次乳がん(SBC)のリスク上昇と関連しているが、アントラサイクリン療法を受けたサバイバーに対して早期乳がんスクリーニングを推奨するには、現在、裏付けとなる十分な証拠が得られていない。本研究では、確立された6つの研究から、1万7903人のサバイバー(そのうち4.4%に当たる782人がSBCを発症)について、個々の患者のデータをプールし、SBC発症に対する個々のアントラサイクリン系薬剤の用量依存的影響と胸部放射線療法の相互作用を解析した。用量依存的なSBCリスクの上昇はドキソルビシンで見られ(100 mg m−2当たりのハザード比〔HR〕:1.24、95%信頼区間〔CI〕:1.18~1.31)、治療に用いられたドキソルビシン用量が累積で200 mg m−2以上のサバイバーでは、ドキソルビシンが用いられなかったサバイバーと比較してリスクが2倍以上上昇した(200〜299 mg m−2の場合はHRは2.50、300〜399 mg m−2の場合はHRは2.33、400 mg m−2以上の場合はHRは2.78)。ダウノルビシンでは、統計的に有意な関連性は見られなかった。エピルビシンはSBCリスクの上昇と関連していた(エピルビシン治療を用いていない場合に対して用いた場合、HRは3.25、95%CIは1.59~6.63)。ドキソルビシン100 mg m−2当たりのHRは、患者が胸部放射線療法を受けた場合に1.11(95%CI:1.02~1.21)、受けていない場合に1.26(95%CI:1.17~1.36)だった。今回の結果は、治療に用いられたドキソルビシン用量が累積で200 mg m−2以上のサバイバーにおけるSBCサーベイランスの早期開始が妥当であり、サバイバーに対するSBCサーベイランスガイドラインと、今後の治療プロトコルについて検討すべきであることを支持している。

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