多発性骨髄腫:再発または難治性の多発性骨髄腫を対象としたエルラナタマブ ― 第2相MagnetisMM-3試験の結果
Nature Medicine 29, 9 doi: 10.1038/s41591-023-02528-9
エルラナタマブは、ヒト化B細胞成熟抗原(BCMA)-CD3二重特異性抗体である。現在進行中の第2相MagnetisMM-3試験では、再発または難治性の多発性骨髄腫患者に、エルラナタマブが2段階プライミング投与後、週1回皮下投与された。6サイクル後、持続的効果の見られた患者では隔週投与に変更された。本論文では、BCMAを標的とする治療歴のない患者が登録されたコホートA(n = 123)の結果を報告する。主要評価項目として、BICR(blinded independent central review、盲検下独立中央評価)による客観的奏効率(ORR)が設定された。ORRは61.0%(75/123)、完全奏効は35.0%以上で、主要評価項目は目標を達成した。奏功の得られた50人では隔週投与に変更され、そのうちの40人(80.0%)で効果が6カ月以上にわたって改善または維持された。追跡期間の中央値は14.7カ月であり、副次評価項目である奏効期間の中央値、無増悪生存期間、全生存期間は未達であった。15カ月の時点では、奏効率が71.5%、無増悪生存率が50.9%、全生存率が56.7%であった。一般的な有害事象(グレードを問わない場合、グレード3〜4)として、感染症(69.9%、39.8%)、サイトカイン放出症候群(57.7%、0%)、貧血(48.8%、37.4%)、好中球減少症(48.8%、48.8%)が認められた。隔週投与では、グレード3〜4の有害事象が58.6%から46.6%に減少した。エルラナタマブは、管理可能な安全性プロファイルと、深い持続的な効果を有することが確認された。隔週投与に切り替えると、有効性を低下させることなく、長期的な安全性が向上する可能性がある。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT04649359。