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糖尿病網膜症:糖尿病網膜症への進行時期を予測する深層学習システム
Nature Medicine 30, 2 doi: 10.1038/s41591-023-02702-z
糖尿病網膜症(DR)は世界的に見て、予防可能な失明の主原因となっている。DRへの進行のリスクは個人差が極めて大きいため、リスクの予測やスクリーニング間隔の個別化は難しい。今回我々は、眼底画像のみから5年以内のDR進行を予測するための深層学習システム(DeepDR Plus)の開発と検証を行った。まず、糖尿病患者17万9327人からの71万7308枚の眼底画像を用いて、システムの事前学習を行った。続いて、糖尿病患者2万9868人由来の11万8868枚の画像からなる多民族構成のデータセットを用いて、このシステムの訓練と検証を行った。DRへの進行時期の予測に関して、このシステムは5年間にわたり全期間で、C統計量0.754〜0.846、統合ブライアスコア0.153〜0.241を達成した。さらに我々は、このシステムを糖尿病患者のリアルワールドコホートで検証した。臨床ワークフローとの統合により、スクリーニング間隔の平均を12カ月から31.97カ月まで延長できる可能性があり、1、2、3、4、5年後の各時点でスクリーニングを推奨された患者の割合は、順に30.62%、20.00%、19.63%、11.85%、17.89%であった。一方、失明の恐れがあるDRへの進行の検出が遅れたのは0.18%であった。まとめると、DeepDR Plusシステムは、5年以上にわたり、患者ごとのリスクとDRへの進行時期を予測できるため、スクリーニング間隔の個別化が可能になると考えられる。