消化器がん:局所進行胃がんまたは食道胃接合部がんにおける周術期トリパリマブと化学療法 ─ 無作為化第2相試験
Nature Medicine 30, 2 doi: 10.1038/s41591-023-02721-w
周術期化学療法は局所進行胃がんや食道胃接合部がんの標準治療だが、PD-1(programmed cell death 1)阻害剤の追加についてはまだ研究段階にある。この無作為化非盲検第2相試験(NEOSUMMIT-01)では、臨床的にcT3-4aN + M0のステージにある切除可能な胃がんや胃食道胃接合部がん患者を、化学療法群(n = 54)またはトリパリマブと化学療法の併用群(n = 54)に無作為化(1:1)し、化学療法群ではSOX/XELOXの3週サイクルを術前3回および術後5回行い、トリパリマブ・化学療法併用群では、PD-1阻害剤トリパリマブとSOX/XELOXを併用した3週間のサイクルを術前に3回および術後に5回行った後に、トリパリマブ単独治療を最長で6カ月間行った。主要評価項目は、病理学的完全奏効あるいは完全奏効に近い奏効の割合(腫瘍退縮グレード〔TRG〕0/1)であった。その結果、トリパリマブ・化学療法併用群の患者で達成されたTRG 0/1の割合は、化学療法群の患者のそれよりも高く(44.4%〔54人中24人、95%信頼区間[CI] 30.9%~58.6%〕対20.4%〔54人中11人、95%CI 10.6%~33.5%〕)、またトリパリマブ・化学療法併用群と化学療法群間でのTRG 0/1のリスク差は22.7%(95%CI 5.8%~39.6%、P = 0.009)で、事前指定した評価項目を満たすことが分かった。さらに、トリパリマブ・化学療法併用群では、より高い病理学的完全奏効率(ypT0N0)が観察され(22.2%〔54人中12人、95%CI 12.0%~35.6%〕対7.4%〔54人中4人、95%CI 2.1%~17.9%〕、P = 0.030)、また外科手術による病的状態(トリパリマブ・化学療法併用群11.8%対化学療法群13.5%)、死亡率(1.9%対0%)、グレード3〜4の治療関連有害事象(35.2%対29.6%)については、治療群間で差がなかった。結論として、トリパリマブを化学療法に追加すると、化学療法単独と比較して、TRG 0/1を達成する患者の割合が顕著に増え、また管理可能な安全性プロファイルを示した。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT04250948。