消化管間質腫瘍:消化管間質腫瘍におけるリプレチニブとスニチニブの比較 ― 第3相INTRIGUE試験でのctDNAバイオマーカー解析
Nature Medicine 30, 2 doi: 10.1038/s41591-023-02734-5
INTRIGUEは、進行消化管間質腫瘍の成人患者を対象とした非盲検第3相試験で、イマチニブ治療で病勢が進行した、あるいは不耐となった患者を、1日1回リプレチニブ150 mg投与群または1日1回スニチニブ50 mg投与群に無作為に割り付けた。主解析では、無増悪生存期間(PFS)について、リプレチニブはスニチニブに対し優越性はなかった。臨床試験および非臨床研究では、リプレチニブとスニチニブは、KIT変異が位置するエキソンの違いによって活性が異なることが実証されている。従って、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)を用いた変異解析により、さらなる手掛かりが得られるかもしれないと仮定した。この探索的解析(N = 362)では、ベースライン時の末梢全血において、ctDNAの次世代塩基配列解読に基づくアッセイによって74遺伝子が解析された。ctDNAは362試料中280試料(77%)で検出され、KIT変異は患者362人のうち213人(59%)に見られた。イマチニブ抵抗性変異は、KIT ATP結合ポケット(エキソン13/14)および活性化ループ(エキソン17/18)に見つかった。変異のサブグループ評価により、異なる治療効果を示す2つの相互排他的な患者集団が示された。KITエキソン11 + 13/14変異のみを持つ患者(リプレチニブ群n = 21、スニチニブ群n = 20)では、スニチニブ群はリプレチニブ群よりPFSが良好であった(中央値、15.0カ月対4.0カ月)。KITエキソン11 + 17/18変異のみを持つ患者(リプレチニブ群n = 27、スニチニブ群n = 25)では、リプレチニブ群はスニチニブ群よりPFSが良好であった(中央値、14.2カ月対1.5カ月)。この探索的解析の結果は、ctDNAの塩基配列解読が単剤療法の有効性予測を改善する可能性を示唆しており、KITエキソン11 + 17/18変異を持つ患者においてリプレチニブをさらに評価することを支持している。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT03673501。