うつ病/神経調節:治療抵抗性うつ病に対する、結合性をガイドとする間欠的シータバースト刺激と反復経頭蓋磁気刺激の比較 ― 無作為化対照試験
Nature Medicine 30, 2 doi: 10.1038/s41591-023-02764-z
右前島皮質と左背外側前頭前皮質の相互結合性の障害は、うつ病と関連しており、神経調節療法の標的となる可能性がある。5施設並行二重盲検無作為化対照試験において、我々は右前島皮質から左背外側前頭前皮質への有効な結合性に基づく部位に対して、安静時機能的磁気共鳴画像法(MRI)によるニューロナビゲーションを用いた、結合性をガイドとする間欠的シータバースト刺激(cgiTBS)を個別化して行った。主要評価項目は、8週、16週、26週の時点で測定した、GRIDハミルトンうつ病評価尺度17項目に基づくうつ症状の軽減に及ぼす効果であり、「治療抵抗性うつ病」患者の標準刺激部位(F3)に伝達させた、構造的MRIによるニューロナビゲーションを用いた反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)と比べて評価した。参加者は、cgiTBS群(n = 128)あるいはrTMS群(n = 127)に無作為に割り付けられ、それぞれの刺激を4~6週にわたって20セッション受け、またベースラインと16週の時点には安静時機能的MRIが実施された。両群で、うつ症状の持続的な軽減が26週にわたって見られ、主要評価項目であるGRIDハミルトンうつ病評価尺度17項目のスコアには差がなかった(治療企図〔intention-to-treat〕解析の調整平均値、−0.31。95%信頼区間〔CI〕−1.87、1.24。P = 0.689)。2件の重篤な有害事象(そう病と精神病)がおそらくTMSと関連していた。MRIによるニューロナビゲーションを用いたcgiTBSとrTMSは、26週にわたって治療抵抗性うつ病患者において同等に有効であった(臨床試験登録番号ISRCTN19674644)。