Article

大腸がん:転移性大腸がんにおけるパニツムマブと化学療法の併用後の生存バイオマーカーとしてのベースライン時ctDNAでの遺伝子変化

Nature Medicine 30, 3 doi: 10.1038/s41591-023-02791-w

転移性大腸がん(mCRC)では、特定の遺伝子変化や原発巣が右側であることは、抗上皮増殖因子受容体(EGFR)治療に対する抵抗性と関連している。第3相PARADIGM試験(n = 802)では、RAS野生型mCRCで原発巣が左側の患者において、一次治療としての抗EGFR(パニツムマブ)とmFOLFOX6(modified FOLFOX6)の併用療法は、抗血管内皮増殖因子(ベバシズマブ)とmFOLFOX6の併用療法よりも、全生存期間を延長することが実証された。今回、PARADIGM試験の事前指定した探索的バイオマーカー解析(n = 733)では、EGFR阻害に対する抵抗性と関連する遺伝子変化の広範なパネル(KRAS変異、NRAS変異、PTEN変異、EGFR細胞外ドメインの変異、HER2増幅、MET増幅、ALK融合、RET融合、NTRK1融合を含む)に焦点を合わせ、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)での遺伝子変化と有効性評価項目の間の関連を評価した。原発巣の占拠部位にかかわらず、ctDNAでこのパネルの遺伝子変化が見られない(つまり、negative hyperselected〔全遺伝子変化陰性〕)患者では、パニツムマブとmFOLFOX6の併用群が、ベバシズマブとmFOLFOX6の併用群よりも全生存期間を延長した(全集団での全生存期間の中央値は、パニツムマブ併用群が40.7カ月に対して、ベバシズマブ併用群が34.4カ月、ハザード比0.76、95%信頼区間0.62〜0.92)が、ctDNAでこのパネルのいずれかの遺伝子変化が見られた患者では、パニツムマブ併用群とベバシズマブ併用群は同程度もしくはやや劣性だった(パニツムマブ併用群が19.2カ月に対して、ベバシズマブ併用群が22.2カ月、ハザード比1.13、95%信頼区間0.83〜1.53)。ctDNAを用いて遺伝子変化が見られない患者を選択すること(negative hyperselection)は、mCRC患者の最適な治療選択の指針となる可能性がある。ClinicalTrials.gov登録番号:NCT02394834およびNCT02394795。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度