腸内微生物:さまざまなタイプのがんにおいて2つの免疫チェックポイント阻害剤を併用した場合の腸内微生物シグネチャー
Nature Medicine 30, 3 doi: 10.1038/s41591-024-02823-z
PD-1(programmed cell death protein 1)やCTLA-4(cytotoxic T lymphocyte protein 4)を標的とする免疫チェックポイント阻害(ICB)は、さまざまながんに対して顕著な奏効を誘導し得るが、予測できない。複数の研究から、がん患者の腸内微生物相の組成とICBに対する臨床応答との間に関係があることが示唆されているが、さまざまなコホートにわたって一般化可能なマイクロバイオームに基づくバイオマーカーを定めることは難しい。これは、微生物相を定量化するこれまでの取り組みは、種やより上位の分類群の存在量に対して行われてきたが、微生物の機能はしばしば株特異的であることに関連している可能性がある。本研究では、2つのICB剤による併用療法を受けたさまざまな希少がん患者からなる、豊富な注釈が付けられた独自の第2相試験コホート(発見コホートn = 106)において、ベースライン時の糞便試料の高深度ショットガンメタゲノム塩基配列解読を行った。株レベルで明らかにした微生物量は、種レベルの定量化を用いて、あるいは治療前の包括的な臨床的要因を用いて構築したモデルと比べて、ICBへの応答や12カ月無増悪生存率について、機械学習による予測を改善することが実証された。さらに6つの比較可能な研究の腸メタゲノムのメタ解析により(検証コホートn = 364)、がん横断的(および国横断的)な株–奏効シグネチャーの妥当性が明らかになったが、これは訓練コホートとテストコホートが一致するICBレジメン(抗PD-1単剤療法、あるいは抗PD-1と抗CTLA-4の併用療法)を用いていた場合のみであった。この結果は、腸マイクロバイオームによる診断法あるいは治療法の今後の開発は、がんタイプではなく、ICB治療レジメンに従って調整されるべきであることを示唆している。