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急性腎障害:未確定の潜在能を持つクローン性造血は急性腎障害と関連する
Nature Medicine 30, 3 doi: 10.1038/s41591-024-02854-6
年齢は急性腎障害(AKI)の主なリスク因子だが、このリスクの根底にある生物学的機構についてはほとんど分かっていない。未確定の潜在能を持つクローン性造血(CHIP)は、加齢に伴って生じるいくつかの慢性疾患のリスクを上昇させる。本研究では、CHIPがAKIのリスクを高めるかどうかの検証を試みた。3つの集団ベース疫学コホートにおいて、CHIPはAKI発症リスクの上昇と関連していることが明らかになり、これは透析が必要なAKI患者や、TET2やJAK2の変異といったDNMT3A以外の遺伝子に体細胞変異を持つ人でより顕著だった。メンデル無作為化解析により、CHIPはAKIの促進と因果関係があることが裏付けられた。非DNMT3A型CHIPは、AKI患者において腎障害から回復できないパターンとも関連していた。機構について理解するために、我々は2つのAKIマウスモデルにおいて、Tet2-CHIPとJak2V617F-CHIPの役割を評価した。どちらのモデルでも、CHIPは、AKIの重症化や、炎症性マクロファージの腎臓への浸潤増加、AKI後の腎線維化の増悪と関連していた。まとめると、本研究はCHIPが、腎臓のマクロファージによる異常な炎症応答を介して、AKI後の腎機能回復を損なわせる遺伝学的機構であることを明らかにしている。