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計算病理学:計算病理学のための汎用基盤モデルに向けて

Nature Medicine 30, 3 doi: 10.1038/s41591-024-02857-3

組織画像を定量的に評価することは、計算病理学のタスクに非常に重要で、WSI(whole-slide image)の組織病理学的エンティティーを客観的に特徴付ける必要がある。WSIは高解像度であり、また形態学的特徴が多様であることから、高性能アプリケーション用のデータの大規模なアノテーションは複雑になり、これが大きな課題である。この課題への対応として、現在の取り組みでは、自然画像データセットからの転移学習や、公開された組織病理学データセットでの自己教師あり学習により事前学習した画像エンコーダーの使用が提唱されているが、多様な組織タイプに対して大規模な開発や評価は行われていない。本論文では、病理学のための汎用の自己教師ありモデルであるUNIについて紹介する。UNIでは、主要な20の組織タイプにわたる10万枚以上の診断用H&E染色WSI(77 TB以上のデータ)から得られた1億枚以上の画像を用いて、事前学習を行った。このモデルは、診断難易度が異なる34種類の代表的な計算病理学タスクで評価された。我々は、UNIが、これまでの最先端モデルを上回る成績に加えて、解像度に依存しない組織分類、少数ショットのクラスプロトタイプを用いたスライド分類、OncoTree分類システムの最大108タイプのがん分類でのがんサブタイプ分類の汎化など、計算病理学において新たなモデル化能力を示すことを実証する。UNIは、計算病理学において、事前学習データと下流での評価の両方に関して、大規模に教師なし表現学習を進展させ、解剖病理学における診断の難しいタスクや臨床ワークフローを広い範囲に汎化・転移できる、データ効率のよい人工知能(AI)モデルを可能にする。

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