Brief Communication

がん免疫療法:市販のCAR T細胞療法後に生じるT細胞リンパ腫および二次悪性腫瘍のリスク

Nature Medicine 30, 4 doi: 10.1038/s41591-024-02826-w

我々は、非ホジキンB細胞リンパ腫に対して行った抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)T細胞免疫療法の3カ月後に発生したT細胞リンパ腫(TCL)について報告する。このTCLは、肺がん手術時の胸部リンパ節から診断され、CD8+細胞傷害性表現型を示し、JAK3遺伝子バリアントを持っていたが、CAR導入遺伝子の量は非常に低かった。CAR T注入前の血中および肺がん組織内においては、T細胞クローンのレベルは低かった。さらに、市販のCAR T(CD19またはBCMA〔B細胞成熟抗原〕を標的とする)細胞療法後に二次悪性腫瘍(SPM:secondary primary malignancy)が生じる総合的なリスクを評価するために、ペンシルベニア大学で治療を受けた449人の患者を分析した。追跡期間の中央値は10.3カ月で、16人の患者(3.6%)にSPMが見られた。SPM発症までの期間の中央値は、悪性固形腫瘍が26.4カ月、血液悪性腫瘍が9.7カ月であった。5年累積発生率は、固形悪性腫瘍が15.2%、血液悪性腫瘍が2.3%と予測された。TCL 1例が観察されたが、全体としては、CAR T療法後のTCL発症リスクは低いことが示唆された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度