Article

妊娠中絶:米国における遠隔医療での薬による中絶の有効性と安全性

Nature Medicine 30, 4 doi: 10.1038/s41591-024-02834-w

米国では、遠隔医療による妊娠中絶は、中絶を合法とする州での需要の急増に対処するために非常に重要となっているが、その有効性と安全性に関する根拠は限定的なものである。CHAT(California Home Abortion by Telehealth)は、2021年4月から2022年1月の間に、20の州とワシントンD.C.で運営されている3つのバーチャルクリニックから、遠隔医療を介して薬による中絶を受けた妊婦を追跡する前向き研究である。対象者は、主に病歴に基づいて、標準的な無検査プロトコルによりスクリーニングされ、医学的適格性が評価された。有効性は、ミフェプリストン200 mgとミソプロストール1600 μg(またはそれ以下)の使用により、追加介入なしで完全中絶が達成されることとして評価し、また安全性は重篤な有害事象がないこととして評価した。欠損データを考慮するために、多変数ロジスティック回帰と多重代入法を用いて、中絶成功率や有害事象発生率を推定した。6034例の中絶のうち、97.7%(95%信頼区間〔CI〕= 97.2〜98.1%)は、初回の薬剤使用後に、さらなる既知の介入も妊娠継続もなく、完全中絶を達成した。全体として、中絶例の99.8%(99.6〜99.9%)では重篤な有害事象は伴わなかった。合計で、患者の0.25%が重篤な中絶関連有害事象を経験し、0.16%が子宮外妊娠治療を受け、1.3%が中絶後に救急外来を受診した。遠隔医療については、同期モデルと非同期モデルの間で、有効性にも安全性にも差は見られなかった。遠隔医療で提供される薬による中絶は、有効かつ安全であり、これらの達成率は、報告されている対面医療での薬による中絶治療と同程度である。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度